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2005/12/18

ティム・パワーズ“アヌビスの門”

1983年/翻訳:大伴墨人/ハヤカワ文庫

『さえない中年の英文学者ブレンダン・ドイルは、好事家として有名な大富豪ダロウの話に思わず耳を疑った。なんとダロウは時間旅行の方法を発見したというのだ。なんでも時の流れには〈孔〉が開いていて、そこを通れば過去へ行くのも未来に行くのも思いのままらしい。19世紀に赴いてコールリッジの生の講演を聴くというダロウの計画にすっかり乗せられ、時間旅行に参加することに決めたドイルを待ち受けていたものは……!?』



『英文学者ドイルが跳んだ19世紀初頭の英国では、おりしも、古代エジプトの邪教を奉じる魔術師が大英帝国の転覆を企てて暗躍の真っ最中だった。かててくわえて巷では、犬面ジョーなる怪人が出没して人々の恐怖の的となっていた。この魑魅魍魎入り乱れての大騒動のただなかに飛び込んでしまったドイルは、はからずもエジプトの魔術師と対決する羽目になるが……。フィリップ・K・ディック記念賞に輝く奇想天外な伝奇物語!』

 緻密に練り上げられた奇想天外なストーリー。詳細に調べられた時代背景。そしてそれらを生かす魅力的な登場人物たち(特に悪役連中)。万人にお勧めできるタイムトラベルものの傑作。
 タイムトラベルものの定番である『未来に起こることを知っている』ということが物語の主題になっています。自分の伝記を読み、自分がこれから発表する作品を知っている主人公ドイルが自分の運命を見つける物語。すべての伏線が収束するエピローグは爽快です。『すでに決まっている自分の死』に正面から立ち向かい、そして新しい未知なる人生に漕ぎ出す『彼』。ああ、面白かった!!

 もう一人の主人公にしてヒロインのエリザベス・ジャクリーン・チィチー嬢も、強さと弱さとけなげさとそのほか色々なものがいっぱいで可愛い。

 もしも90年代に向けて開いている<孔>があるなら、高校生のころの、『混沌の渦』で遊んでいたころの自分に読ませてやりたい。きっとすごい影響を受けるぞ。(混沌の渦の舞台は16世紀だけどさ)

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コメント

『混沌の渦』こそ、モノホンの「魔法使い」をプレイできるほぼ唯一のルールであったと。
町中では無敵。なんせかかってくる敵を偶然馬車が撥ねちゃったり二階から捨て落とされたタンツボの中身が顔面を直撃しちゃったり、――みんな危ないっ、暴れ牛だー!

うん。まあプレイヤーを選ぶルールではありましたが(←失格)。

投稿: こあとる | 2005/12/19 00:50

聖職者の『説教』強いよ、『説教』。(何かのトラウマが再発した様子)

投稿: Johnny-T | 2005/12/20 21:22

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