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2006/03/17

ランドル・ギャレット“魔術師を探せ!”

1964年/翻訳:風見潤 /ハヤカワ文庫
『公爵が亡くなり、棺が作られた。だが、その中に全身藍色に染まった全裸死体が入っていた。死体は主任捜査官のものであり、その色は、黒魔術を信奉し、国家に反逆する古代アルビオン聖協会を暗示していた。とすると、被害者は黒魔術儀式の生贄だったのか?上記「藍色の死体」をはじめ、魔術師だらけのパラレル・ワールドを舞台に、捜査官ダーシー卿とワトスン役マスター・ショーンの活躍を描くSFミステリ3篇を収録。』

 舞台は、科学ではなく魔術が発達したパラレルワールド。
 英仏帝国と東方の大国ポーランド王国(いやここ笑うところじゃないから!)がしのぎを削るヨーロッパを舞台に、英仏帝国の敏腕捜査官ダーシー卿が、魔術師マスター・ショーンの手を借りて不可能犯罪に挑む!
 謎解きに魔術というガジェットが関わってくるSFミステリ。この独特の作品世界を生かした謎解きや手がかりの扱い方が魅力的です。

 じつはこの本はシリーズの第二巻なのです。この『魔術師を探せ!』は早川書房創立60周年記念のリバイバル・フェアでつい最近復刊されたので現在も入手可能ですが、シリーズ第一作『魔術師が多すぎる』は絶版になってからかなり長く現在入手が困難なのだそうです。ねぇ、ちょっとそりゃないよ!?みんな、復刊希望を出すんだ!ぼくも出す。

 パラレルワールド物の肝である仮想歴史を含めた裏設定はかなり詳細に煮詰められているようですが、なにしろこの本は第二巻。一巻目ですで解説されたのであろう設定について改めて解説されていないせいで、ちょっとだけ混乱を招く部分があります。
 なのでこれから読もうという人は次の点についてだけは知っておいたほうがいいでしょう。
1.舞台になる時代は1900年代の中盤。たぶん60年代くらい。こういう設定なので近世かそれ以前をイメージする人が多いでしょうが(というか、ぼくがまさにそう)、ナチュラルに腕時計が登場するくらいに現代です。ビックリ。
2.『テレスン』というのはわれわれの世界で言う『電話(テレフォン)』のようなもの。
 この二点以外は話の中で適宜説明されるので問題はないでしょう。うっかりネタバラシをしてしまっては大変ですし。

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