支倉 凍砂『狼と香辛料』
『行商人ロレンスは、麦の束に埋もれ馬車の荷台で眠る少女を見つける。少女は狼の耳と尻尾を有した美しい娘で、自らを豊作を司る神ホロと名乗った。
「わっちは神と呼ばれていたがよ。わっちゃあホロ以外の何者でもない」
老獪な話術を巧みに操るホロに翻弄されるロレンス。しかし彼女が本当に豊穣の狼神なのか半信半疑ながらも、ホロと共に旅をすることをロレンスは了承した。
そんな二人旅に思いがけない儲け話が舞い込んでくる。近い将来、ある銀貨が値上がりするという噂。疑いながらもロレンスはその儲け話に乗るのだが──。
第12回電撃小説大賞<銀賞>受賞作!』
面白かった。
『行商人』ロレンスと老練で狡猾だけど寂しがり屋でりんご好きの『賢狼』ホロの物語。
中世的行商人ファンタジーという滅多にないフレーバーもまたよし。商品、貨幣の流通を主題に持ってきて、きれいに物語に絡める技量は本当にたいしたものです。
魔法も剣もないけれど、文句なしに面白いファンタジーでした。
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