チャールス・ストロス『シンギュラリティ・スカイ』
2003年/翻訳:金子浩/ハヤカワ文庫
『「わたしたちを楽しませてくれますか?」ある朝、新共和国の辺境惑星ロヒャルツ・ワールドに降りそそいだ携帯電話から聞こえてきた不思議な声は、住民の語る「物語」と引き換えに、3つの願いをかなえはじめた…お金、自転車、家、核融合爆弾…それがどんな願いでも。かくて惑星社会は大混乱に。この事態を「侵略」と決めつけた新共和国皇帝は、ただちに攻撃艦隊の派遣を決定したが…。英国SF期待の新星が放つ衝撃作。』
最近ちょっとしょんぼりな作品が続いていたハヤカワ文庫非復刻スペオペでは久しぶりの大当たり(いや、「啓示空間」や「コラプシウム」もそうわるくないんだけどね)。本屋で頭三行を読んで即購入。
一日戦争が宣戦布告され、ノーヴィ・ペトログラードの丸石畳に電話の雨が降りそそいだ。大気圏突入時の熱で溶けかけている電話もあった。溶けなかった電話は、夜明け直後の冷え込みで、カチカチと音をたてながら急速にさめた。
ミリタリーもの、スパイもの、ネットワークもの、時間もの、その他いっぱい詰め込んだガジェットいっぱいのスペースオペラ。派手だけど、バランスよく手堅くまとまってて非常に読みやすく面白い。ちょっと終盤が尻すぼみかなという感じもしますが、デビュー作でこれなら十分以上に合格です。続編の翻訳も決定しているそうで、こちらも非常に楽しみです。
本編とは関係ありませんが、中盤の軍法会議のシーン以降、レイチェルの外見イメージがエイプリル・イーナスで固定化されました。いやまあ……うじゃうじゃ。
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