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2006/09/18

レナード・ウイバーリー『小鼠ウォール街を撹乱』

1969年/翻訳:清水政二/創元推理文庫
『北アルプス山中の小国グランド・フェンウィック大公国――この平和でのどかな国の国家予算は過去五百年間収支のバランスがとれ、通貨も安定していた。そこへ突然、ふってわいたような大金が転がり込んできた。アメリカのチューインガム会社に眠っていた大公国の投資が、禁煙運動のおかげで思いもかけぬ百万ドルという大金をもたらしたのだ。これをきっかけに、大公国の経済は危機に瀕し政局は混乱する。そこでグロリアナ大公女は、投機をすれば元も子もなくなるに違いないと、その金を株の投資にまわしたところ……世界経済を痛烈に戯画化した抱腹絶倒、痛快無比の傑作シリーズ!!』

 『小鼠ニューヨークを侵略』の正統続編。
 世界最強の小国グランド・フェンウィック大公国を襲う新たな危機とそれに立ち向かう女王グロリアナたちの戦い!その

 ちなみにその激闘の例
「あなたに買ってさしあげられるもので、何か非常にお金のかかるものはございませんの、本当に?」と彼女は博士に聞いた。
(中略)
「早速注文なさってください。あちらには特別の航空便で送るようにお手配になるとよろしいでしょう。費用はいかほどかかろうともかまわないと先方におっしゃってください。どれくらいかかるとお思いですか?」
「多分一つが二百ドルですか、でも特別機をチャーターするとなると数千ドルかかるかもしれませんな」
「まあ、なんてことを。もっとお金のかかることをお考えになれませんの?」
 しかしコーキンツ博士は何も思いつかなかった。

 なにげなく経済欄に目を移したのであった。その欄の冒頭の記事は産業株の値の暴落と、鉄道株と国債の値が少し上がったことを詳しく報じている。
「なぜもっと早くこれに気がつかなかったのかしら?」グロリアナは強い口調でもらした。「毎日少しの苦労もせずに、株式売買で何百万ものお金をなくしている人々がいるのよ。ただ株を買って、買い続ければ文なしになるに決まっている。それに面白い遊びにもなるわ」

……そして敗北
「わたくしはわが国民の元首として自らの失敗を告げるために皆さんの前に参りました」グロリアナは立派だった。「最善をつくしたのにもかかわらず、株式で財産を作ってしまったのです。その価値は聞くところによると十億に近いそうです。それは大公国のすべての家を百万長者にするでしょう……」

 ああ、おもしろかった。偉大なグランド・フェンウィック大公国に栄光あれ。

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コメント

この記事を読んだ次の日に速攻で「小鼠ニューヨークを侵略」を買いに行ってしまいましたw
「~攪拌」が見つからなかったのが返す返す残念です。
これから頑張ってブクオフ巡りをせにゃならんかな?
古い本なので書店で取り寄せは無理、と可愛い店員さんに笑顔でざっくりお断りされてしまいましたw

投稿: トンガリ | 2006/09/22 10:52

がむばって探してください。ぼくは九ヶ月かかりました(笑)
シリーズが後二冊あるらしいんですよね、『月世界』と『油田』と。道は遠いなぁ。

投稿: Johnny-T | 2006/09/23 00:21

「月世界」は読んでみたいと思いますね。
頑張ってブクオフ逝って来ます。

|ブクオフ|   入.........

投稿: トンガリ | 2006/09/23 11:28

お前一人で逝かせはしないぜ (*^ー゚)b (←少年漫画の定番っぽく)

(中略)

ははっ、ちょっとブクオフ巡っただけなのによう……
体が言うこと聞かねェや……
笑っちまうよ…
……みんな…早く先に行けよ…
後で…俺も…追いつくから……
……………

投稿: Johnny-T | 2006/09/25 02:15

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