柳広司『百万のマルコ』
『黄金が溢れる島ジパングで、大冒険の末、黄金を捨てることで莫大な黄金を手に入れた――。囚人たちが退屈に苦しむジェノヴァの牢。新入り囚人〈百万のマルコ〉ことマルコ・ポーロは、彼らに不思議な物語を語りはじめる。いつも肝心なところが不可解なまま終わってしまう彼の物語。囚人たちは知恵を絞って真相を推理するのだが……。多彩な謎が詰まった、文庫オリジナル連作集』
ジェノヴァの牢で囚人たちが退屈をもてあましていると、傍らで微睡んでいたマルコ・ポーロが目を覚まし、奇想天外な体験談を語りだす。優れた洞察力で事の真相を見抜いたという自慢話に終始するのだが、聞いている5人には皆目見当がつかない。さて、賢明なる読者は如何?十三の難問奇問を集めた話題の書。
……とは、『ユニオン・クラブ綺談』扉ページ解説のイタダキですが、ままそんな感じ。あちらに比べると固有の文化に関わる問題がほとんどない分こちらのほうが人に薦めやすいです。
全体にミステリとしては小ネタ揃いですが、異国譚風に味付けされた推理クイズはただ読むだけでも楽しめるものです。一篇一篇が短いので、近距離の電車通勤の人などにオススメ。
かくして、私は楽しい読書時間をすごすことが出来たのである。
神に感謝。アーメン、アーメン。
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