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2007/10/18

デイヴィッド・ウェーバー『反逆者の月』

1991年/翻訳:中村仁美/ハヤカワ文庫
『人類が月だと思っていたのは、実は巨大な宇宙戦艦だった!5万年前に発生した反乱により、やむなく太陽系にとどまることになった戦列艦は、月を破壊し入れ替わったのだ。艦内はまったくの無人。総員退艦した乗員たちは二派に分かれて、地球で戦いつづけている。だが今、怖るべき敵の襲来を告げる通信を受信した艦載コンピュータのダハクは、現状打開のため、月を探査中のマッキンタイア少佐を捕獲し、驚くべき提案をする!?』

 そしてこちらはトラベラーリプレイ?

 ハッタリの利かせ方とその見せ方が実に上手い。
 まず、

 実は月は人類をはるかに凌ぐテクノロジーを持つ異星人が作った宇宙船だった!七千万年もの昔から人類の帝国は恐るべき敵アチュルタニの侵攻を受けており、月の正体は星間国家第四帝国がアチュルタニを迎え撃つために派遣した巨大宇宙戦艦なのだ!
 だが5万年前に船内で反逆者が反乱をおこしたせいで太陽系に留まらざるをえなくなったので、カモフラージュのために月を破壊して入れ替わった!残骸は太陽にポイッチョ。ちなみに、その反乱は現在も地球上で進行中!何しろ、今の地球人類すべてが、叛乱に巻き込まれて地球に漂着したクルーの子孫で、地球に降り立った最初の異星人の一部がまだ生き残っているうえに、彼らのほとんどは反逆者だからだ。
 ところで、今まさに全文明を滅ぼそうとする強大な敵アチュルタニが太陽系に迫っているんだが、とりあえず地球上の反乱を鎮圧しないことには宇宙船を動かせないぞ、どうしよう。

という設定が冒頭のわずか55ページでドガーンと一気に明かされます。
 そして、最初にドカーンと大きなネタを持ってきた後は、きっちり丁寧に「大嘘ついても小嘘はつくな」の精神で、細かい部分の描写を丁寧に一貫性をもって描かれているのがじつに好感触。

 この巻は地球上でのごたごたを収拾をつけて、いよいよ大宇宙へというとこで終わっているので、続編が非常に楽しみ。未読だった同じ作者のオナー・ハリントンも読もう。

 あとね、『月』のメイン・コンピュータのダハクがいいキャラクターで、近年まれに見る萌えAIっぷり。五万年の孤独の後に主人公と出会うことで多くを学び、人間に近付くことに「喜び」を「感じる」。畜生、かわいいなダハク!

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コメント

グレンラガンの元ネタ?

投稿: あんよ | 2007/10/19 01:42

邦訳版が出たのがついこの間だからそんなことは無いと思いますが……。
というか、グレンラガンって月に巨大宇宙船があったりするんですか?そういえば、主人公たちが銀河殴り込み艦隊だとかいう話をどこかで聞いたような気がしますが。

投稿: Johnny-T | 2007/10/20 00:54

>>グレンラガンって月に巨大宇宙船があったりするんですか?
 もうネタバレOKだろうから書きますが、まさに月が巨大宇宙船だったりしました。

>>主人公たちが銀河殴り込み艦隊
 最終回のスケールのバカバカしさについては、やはり実際にみてもらうのが良いかと思います。
 脚本の中島かずきさんがインタビューの中で、「脚本を渡したときの副監督の顔が渋かった」と語っておられました。

投稿: あんよ | 2007/10/23 00:17

>月が巨大宇宙船

 ちょっとつてをあたってビデオを見せてもらってきます。そいつは見るしかねぇ。

投稿: Johnny-T | 2007/10/23 23:27

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