ジャック・ヨーヴィル『ベルベットビースト』
1991年/翻訳:待兼音二郎、矢野真弓、木暮里緒/HJ文庫G
『アルトドルフの市街はにわかに騒がれている連続殺人鬼"ビースト"の話題で持ち切りだった。しかも、ビーストの正体は貴族だというのだ。民衆の不安と不満は、扇動家エフィモヴィッチによって暴動にまで発展していく。熱血漢の警備兵エルゼッサー、残留思念を念視する心霊鑑定者ロザンナ、正義の人、フォン・メクレンベルク男爵、出世より信念に生きる男、ダーティ・ハラルドは混乱の帝都で"ビースト"事件の捜査に乗り出す。混迷する捜査の果てに彼らが見た真犯人とは……? 』
シリーズの通し番号としてはウォーハンマーノベルの第三作ということになっていますが、時系列的にも発表順的にも二番目の『吸血鬼ジュヌヴィエーヴ』より前の話なのでこちらを優先。『ベルベットビースト』ではジュヌヴィエーヴが完全に脇役だからこういうナンバーの振り方になったのかな?
内容はまさにオールドワールド版切り裂きジャックVSダーティ・ハリー。
霧に包まれた都アルトドルフで起きる連続殺人事件。女性ばかりを狙う殺人鬼を追うのは信念に生きる警備隊長“ダーティ”ハラルド。胸に輝くコップ(銅)のバッヂ、その手に握るは大業物のマグニン投げナイフ。
まあ、本来PC3・PC4のはずの心霊鑑定者ロザンナと新米警備兵エルゼッサーの方が目立ってね?とか、そもそもPC1は『ドラッケンフェルズ』から継続登場のヨハン・フォン・メクレンベルグ男爵だよね?とかは気にしない方向性で。
相変わらずの多人数の視点が絡まるニューマン…じゃなかったヨーヴィル調。様々な立場、思惑のキャラクターたちが絡み合いながら謎を解いていく、群像劇としても異世界ミステリとしてもかなりいい感じです。
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