デイヴィッド・ウェーバー『反逆者の月2』
1993年/翻訳:中村仁美/ハヤカワ文庫
『地球総督となったマッキンタイアは、侵攻を開始した怖るべき異星生命体アルチュタニの巨大艦隊から地球を守るため、巨大戦艦ダハクを駆って、銀河中心部に存在するはずの銀河帝国に救援を求めるため旅立った。だが最初に訪れたシェスカー星系で目にしたものは、完膚なきまでに破壊された惑星の姿だった! 刻々と地球へと迫る300万隻を超えるアルチュタニ艦隊。果たして、帝国は今も存在するのか? 地球の命運はいかに? 』
ああ、面白かった。この一言に尽きます。
今回は、地球に迫る謎の敵アチュルタニから地球を守るために帝国に救援要請に旅立ったコリンたちの旅と、地球に残ったメンバーの地球人類の総力を結集した死闘が描かれます。
「……現状はケースオメガに該当する。必要な措置を講じてくれ」
予想を上回る、実にひどい展開に吹き出しましたよ。
帝国が滅亡してるのもコリンが戴冠するのもなんとなく予想の範囲内でしたが、その過程があまりにも予想外。こんなアンチクライマックスな戴冠式見たことねぇ!
三部作だということは知っていたから、てっきりこの巻はアルチュタニの先遣艦隊との闘いとコリンの帰還まで終わって、本格的な闘いが最終巻で描かれると思っていました。まさかこの巻でその先までやってしまうとは!?
「後続の本隊とは、おそらく正面から戦うしかないだろう。われわれの側の艦、七十八隻に対して、敵は百二十万隻――比率にしておよそ一万五千対一だ」
この圧倒的な敵に対して彼らはどう戦い抜くのか?サバ読むなコノヤロー!?
一巻でもそうでしたが、逆境に陥ったときの主人公たちはじつにクレバー。自分たちがなるべく負けないような算段をした上で、その上でたとえこの戦闘で自分たちが全滅したとしても自陣営がゲームオーバーにならないように手を打つ。そこにしびれるあこがれる。
そして、最終戦でのヒロイン・ダハクの活躍が泣かせます。こうなると分かっていてもやっぱり泣けるもんは泣けるんだよ!
500ページ越えの厚さですが、一巻と併せて読む価値のある本です。
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コメント
>こうなると分かっていてもやっぱり泣けるもんは泣けるんだよ!
全面的に同意であります、陛下の野郎。
「お前らこういう展開好きだろう!俺もだ!」ってな話ですねー、これ。「到着がぎりぎりになって、すまなかったな」のタイミングとか(わかってても)最高。ブラシールさんは近年希に見る名異星人でした。
で、それはそれとして。
本文では「アチュルタニ」なのに、裏表紙の紹介文は「アルチュタニ」なのがもう気になって気になって。ダハク、理由を教えてくれ。
投稿: エム | 2008/05/06 14:23
>「到着がぎりぎりになって、すまなかったな」のタイミングとか
正直、映画版マジンガーZのグレートマジンガー登場シーンを越えたといわざるを得ない!
>ダハク、理由を教えてくれ。
ちょっと時々ごっちゃになるねん。エレベーター?エスカ(後略)
まあ、字面的に間違っちゃう気持ちは分かります。あ、ちなみに上のあらすじ引用文のは原文に忠実にやっただけなので、わざとですついです(どっちだよ)。
投稿: Johnny-T | 2008/05/08 22:15