ラスト、コーション 色|戒
『日本軍占領下の1942年の上海。傀儡政府のスパイのトップであるイーは、かつて香港で出会った女性ワンと再会する。数年前、香港大学の学生だったワンは、抗日に燃える演劇仲間たちとイーの暗殺計画に加わっていた。その時、イーが突然上海に帰ったことで計画は流れたが、レジスタンス活動を行う組織は、上海に戻っていたワンに再びイーの暗殺計画への協力を求める。ワンはイーに近づき、彼の愛人になることに成功。やがて二人は…。』
1942年、各国の権益が渦巻く国際都市「東洋の摩天楼」上海を舞台に、特務機関ジェスフィールド76号の幹部であるイーと彼を狙う若き女スパイ・チアチーの物語。
特務機関のボスとスパイの禁断の愛情物語がメインなので、レジスタンスの抵抗運動だとか特務と抗日ゲリラの虚々実々の謀略戦だとかにはあまりウェイトがかかってません、フレーバー程度。だもんで、そういった話が好きな人がそっちの方向性を期待していくとたいへんしょんぼりして帰ることになります。気をつけろ!誰も信じるな!レーザーガンを手放すな! ZAP!ZAP!ZAP!
愛の物語なのは仕方ないのですが、時代物お約束の同時代人ゲストや同時代有名事件がさっぱり作品に関わってこないし話にも出やしないのが非常に残念。まあ、それでなくとも長い映画(2時間38分)だからそんなところまで描写してられないのは分かるんですが。でも残念だ、そういうのが楽しいのに。
それでも、舞台になっている40年代、日本占領下の各国の人間が入り乱れる混沌とした上海の描写がたいへん素晴らしく、猥雑で活気があって危険な街を、輪タクやトロリーバス、高級車、喫茶店、洋館、バラック、家具、電話機、マージャン牌といった画面の端に移るガジェットを効果的に使って見せてくれます。
……ダブルクロス・ウィアードエイジのGMをやる人には情景の演出やシナリオネタの参考資料としてかなり役に立つんじゃないかな?
わりと予定調和の物語なので、予想外の急展開!驚きの結末!とかアクション!アクション!またアクション!とかを好む人には薦められませんが、ロマンチックな悲恋の物語……なんてのを好む人にはよろしいかと思います。
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