ブライアン・キャスリン『無頼船長トラップ』
『1942年夏、ドイツ軍の猛攻にさらされる地中海マルタ島の英国海軍が、秘密作戦を立案した。戦争そっちのけで密輸稼業に精を出す自称中立の英国人船長トラップ――彼のボロ船カロンを偽装船に改造し、ロンメル軍団への補給路遮断に一役買ってもらおうというのだ。敵艦艇の群がる海域で単独行動を取るのだから、生還の見込みは皆無に等しい。しかしトラップは金につられて任務を受諾。無理矢理副長に任命された海軍大尉ミラーの嘆きをよそに、部下の荒くれ男どもを従えて勇んで出撃した!鬼才がユーモアを交えて描く痛快無比の海洋アクション!』
『速水螺旋人の馬車馬大作戦』がどこにも売っていない(畜生、これだから田舎は!)悲しみを紛らわせるために、近い方向性の『宮崎駿の雑想ノート
』を引っ張り出して読んでたら、Qシップ対Uボートの話(ただし舞台は一次大戦)が目に付いたので、つい先週読んだばかりの『無頼船長トラップ』をまたもや引っ張り出してみたり。
第二次世界大戦のさなか、破竹の進撃を続けるロンメル軍団の補給路を遮断するため決死の作戦に出撃する荒くれ船長トラップの大活躍!!
……とか言うとなんかすごく勇ましく聞こえますですよ?
おんぼろ船カロン号で、地中海のど真ん中にして激戦区のマルタ島(参考:ペデスタル作戦)と北アフリカで密輸を続けていたトラップ船長は、多額の報奨金に目がくらんで生還の見込みのまるで無い無謀な作戦に参加する。
その作戦名は「オペレーション・スティックス(三途の川作戦)」。カロン号をQシップ、つまり武装を隠して一般商船を装う「偽装船」に改造し、北アフリカのロンメルの補給線を寸断するのだ。孤立無援で!
こんな死亡確定のろくでもない作戦に参加させられるろくでなしのヤクザ船員達(と巻き込まれた予備士官のミラー大尉←常識人)が主人公のコミカルかつシリアスな海洋冒険小説。個人的には海洋冒険物として三本の指に入る面白さだと思っています。未読の人はぜひ読むべし。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント