フリッツ・ライバー『ファファード&グレイ・マウザー4 妖魔と二剣士』
『ネーウォン世界の最高峰、スタードック。その頂上に眠る宝石を求め、ファファードとグレイ・マウザーは前人未踏の雪山に挑む。だが、二人を待ち受けていたのは苛酷な自然の脅威ばかりでなく、透明飛行魚の襲撃をはじめとする妖異の連続だった!さらに、迷路のごとき地底王国の兄弟王子に、個々に用心棒剣士として雇われてしまった二人の冒険を描く、剣と魔法のシリーズ第4弾』
最近、一巻から通して読み直してたファファード&グレイ・マウザーの二剣士シリーズもやっと四冊目に突入。4巻5巻は2004年の新装版シリーズ発売の際に初めて訳されたものですが、恥ずかしながらこの二冊は買うだけ買ったもののずっと積みっぱなしだったわけで、今回が初読だったりします。
2本の短編と2本の中編が収録された第四巻。
冒頭の短編「魔女の天幕」と続く中編「星々の船」はファンタジー作品としては珍しい本格登山もの。雪山登攀の描写は緻密かつ濃密。読者の多くが、冒険の最後にファファードが口にする「すばらしい女たちだ、あの4者ともが」という言葉に共感すること間違いなし。
二つの中編をつなぐ短編「ランクマー最高の二人の盗賊」は実に意地の悪い物語。読み終わってからタイトルを読み返して納得。
そして最後にこの本のほぼ半分を占める中編「クォーモールの王族」へと続きます。「ランクマー最高の二人の盗賊」の話の中で地底王国クォーモールの王位を狙う二人の王子に別々に用心棒として雇われてしまった二剣士の物語。陰謀あり活劇あり、一見陰鬱に見えて実はコメディタッチ。でも根本はシリアスという実ににぎやかな話。
このエピソードに登場するグワーイ王子がぼくのお気に入りです。自分が死んでも相手を必ず殺す、前のめり型のゲームプレイヤーっぷりにちょっと共感。
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