フリッツ・ライバー『ランクマーの二剣士』
『ファファードとグレイ・マウザーは君主の命を受け、他国への贈り物を積んだ船団の警護につく。異界からの侵入者の助けを借りて、からくも使命を果たしたのだが…復命のため戻ったマウザーを待っていたのは、ランクマー全都を震撼させる大陰謀だった。マウザーの窮地を知って、戦乱の地を抜け風雲急を告げる古の都へと馳せるファファード。シリーズ初にして唯一の長編登場』
というわけで二剣士シリーズついに読了。5巻は最終巻にして、唯一の長編です。長編だけあって話のスケールも大きく、ゲストも大勢。これまで存在をほのめかすだけだったランクマーの神々や食屍鬼それにランクマー君主グリプケリオとその臣下たちがついに登場。新たな敵は強力で強大(サイズはさておき)と、ノリは劇場版です。ファファードとグレイ・マウザーはシリーズ最大の敵からランクマーの街を救えるのか!!そういえば、いきなり借金取りの一群との大太刀回りで始まって、戦闘が一段落ついたタイミングで依頼人の使いが現れるオープニング演出も映画っぽい。
劇場版だけあってゲストも個性的です。前半大活躍する時間動物園職員のドイツ人(!?)カール・トロイヘルツも、本編のヒロイン……というか峰不二子枠のお嬢様ヒスヴェットとその小間使いフリックスも単品で主役を張れそう。というか、トロイヘルツあたりはぼくが知らないだけで彼自身の物語が作品として存在してるのかも。ヒスヴェット&フリックスのお嬢様と使用人コンビも単品のバディものとして読んでみたかったな。フリックスの意地悪お姉さんっぷりが発揮されるのが終盤だけというのはもったいない。
というわけで、長編版にふさわしい密度の濃い物語でした。
あとがきによると、本国ではもう二冊出ているらしいので、ぜひそちらも訳していただきたい!はりー!はりー!
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コメント
お邪魔します。劇場版という表現はぴったりですね。僕も大好きな一冊ですが、時間が経って一番印象に残っているのはグリプケリオのボンクラっぷりという有様。今度読み返そう⋯⋯。
投稿: 速水螺旋人 | 2008/06/08 13:31
ようこそー。
>劇場版という表現はぴったりですね。
ありがとうございます。自分でもちょっと気に入ってたりします。
>グリプケリオのボンクラっぷり
いやもう、駄目駄目な君主っぷりから、あのションボリ感あふれる退場の仕方まで一貫したボンクラっぷりが最高でした。これ一本のみの登場で再登場なしというのはもったいないなぁ。
投稿: Johnny-T | 2008/06/09 21:13