橋爪紳也『化物屋敷 遊戯化される恐怖』
『神社仏閣や城廓のような、権威づけられた、堅牢な建築に較べると、仮設建築物は、資料が少なく、学問的興味の対象とはならなかった。しかし、人々の日常を支えたこれらに、日本的な建築文化のある種の伝統が見出されるのも事実である。本書は、江戸時代から見世物小屋のひとつとして発達し、近くは遊園地の中で人気を集める化物屋敷の外構・内装・陳列物の歴史を辿り、都市生活者が求めた「恐怖の楽しみ方」を探るものである』
アミューズメント施設としての『お化け屋敷』を中心に、恐怖を楽しむ文化がどのように成立し、一般的な娯楽として定着していったのかを解説しています。
日本と海外の化物屋敷の特徴の違いという話題で、西洋ではよくある『家自体が妖怪化した化け物』というものが日本の妖怪にはほとんどいないという指摘にはなるほどと感心しました。確かに、日本で化け物屋敷といえば、妖怪が居ついたりたまり場にする場所のことであって、家の姿をした妖怪のことじゃないなぁ。逆さ柱のようにパーツだけ妖怪になることはあっても、家自体が九十九神になったなんて話は聞いたことがない。
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