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2008/11/24

ジャン・フランソワ・パロ『ニコラ警視の事件1 ブラン・マントー通りの謎』

『イギリスとの戦に明け暮れていたルイ15世治下のフランス。ブルターニュから上京し、パリ警察総監の下で見習い警視を務める若きニコラ青年は、ある警視の失踪事件の担当を命ぜられ困惑していた。なぜ経験もない自分が任命されたのか?悩みつつも捜査を開始したニコラだが、失踪事件はやがて陰惨な殺人事件へ、そして
王宮をもおびやかす一大事へと発展する……。18世紀のパリを鮮やかに描いたフランスの人気シリーズ登場! 』

 1761年、七年戦争真っ盛りなルイ十五世治世下のフランス。洗練と猥雑が混在するパリの街で、一人の警視の失踪事件の捜査を命じられた若き捜査官ニコラが謎と陰謀だらけの殺人事件を探る。
 18世紀のパリを舞台に正々堂々ストレートに刑事小説をやっていて驚きました。これが実におもしろい。
 捜査の過程で遭遇するパリの住人たちの生活、食べ物や衣服、住居といった生活関連の描写が丁寧かつ豊富で、われわれになじみの薄い18世紀フランスを繊細に描き出しています。特に料理の描写が秀逸で、高級な手の込んだ料理、庶民のシンプルな料理、貧民層の口に入れるだけの料理、どれもが味や食感まで感じられそうなくらいリアルに描きだされています。つーか、読んでいてたいへん腹が減りました。明日は「ジャガイモの煮込み」か「豚足のフリカッセ」を作ろう。
 時代小説の醍醐味といえば有名同時代人のゲスト出演です。もちろんこの本にも実在の人物がかなりの人数ゲスト出演しています。いますのですが……正直、時期が微妙すぎてググル先生なしでは名前を聞いても何をやった人なのかさっぱりわからねぇ。死刑執行人のサンソンはかろうじてわかりましたが、後はぜんぜんだめでした。現地人的には有名な人たちなんだろうなぁ。
 このシリーズ、フランス本国ではTVドラマ化されるほどの大人気だとか。確かにこれは映像栄えしそうな物語です。ぼくもぜひ見たいので、日本でもTV放送なりDVDリリースなりしていただきたいところ。

 捜査の中でニコラを助ける年上の部下ブルドーがいいキャラでした。経験豊富な捜査官で食事と酒が好きで、庶民の立場から上流階級に対して批判的。ちょっと甘いところのあるニコラをしっかりと支え、ベテランとして多くを教える。それでいて主人公を立てるべきところはしっかり立てる。PC2の鑑のようなプレイヤーキャラクターです(TRPG脳)

「真実を暴こうとするなら、火薬に火を点けてしまいなさい。火打石(ブリケ)を持っていないなら、持っているふりをするのだね」
 

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コメント

じょにーさんもお読みになられてましたか。
いや、面白いですよね。美味そうですし。
ブログに紹介してみたところ友人のひとりは未読ながら、
「池波正太郎さんっぽいノリを感じます」とチャットで言ってました。

 なるほど、確かにそんな感じはあると思います。

 腹が減る描写が特に。

投稿: 銅大 | 2008/12/02 02:50

ぼくはスペンサー・シリーズを連想してましたが、いわれてみれば確かに池波テイストのほうが近いかも。とくに料理が美味しそうなところが(笑)
あれは読んでて腹が減りますよねぇ。

投稿: Johnny-T | 2008/12/07 12:30

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