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2008/11/28

ジャック・マクデヴィット『探索者』

『すべては、若き古美術商アレックス・ベネディクトと、その相棒の美人宇宙船パイロット、チェイス・コルパスのところに持ちこまれた、ひとつのカップから始まった。一見したところありふれたカップだったが、コンピュータの解析によれば、およそ9000年前に造られたものと判明したのだ。しかもそこに描かれている古代文字から、抑圧的だった当時の地球を脱出してユートピアを築くべく出発したものの、その後消息を絶ち、いまでは伝説と化している宇宙船〈探索者〉の備品であることが確定したのである!もし、いまも銀河のどこかを漂っているこの宇宙船を発見できれば、巨万の富は約束されたようなものだ。しかも〈探索者〉が見つかれば、彼らが移住したといわれる植民星マーゴリアも発見できる可能性はきわめて高い。そうなれば、史上空前の大発見だ!かくて調査を開始したアレックスは、かすかな手掛かりから次々に新事実を手繰りだしてゆく。そしてアレックスの指示のもと、チェイスは愛機〈ベルマリー〉を駆ってリムウェイを飛び出し、テレパシー能力を持つアシユール人の惑星や、人類の故郷である地球にまで赴いて調査を続けるが……!?2007年ネビュラ賞最優秀長篇部門受賞作』

 一つの古びたカップからはじまる大冒険。わずかな断片から真実を探り出せ!
 一万年後の遠未来を舞台に、失われた歴史の謎を解き明かすSF歴史ミステリー。SFならではの壮大なハッタリの利いた歴史発掘小説。宇宙翔けるインディ・ジョーンズ。
 気持ちよく読める一冊です。ああ、面白かった。

 主人公は『ハリダンの紋章』でも活躍したアレックスとチェイスのコンビ。ですが、物語としてはまったく独立しているので前作を知らなくてもまったく問題ありません。とはいえ、『ハリダンの紋章』も素晴らしいSF歴史ミステリーなので機会があればぜひ読んでみてください。200年前の英雄の時代から現代までの様々な人間の思惑が入り乱れる重層的な歴史推理SFで、複雑に絡まってしまった謎をほぐす過程を追っていくのが楽しい一冊です。
……邦訳版が出たのが1991年だから入手困難だけどな。ハヤカワもこの機会に再販かけてくれればよかったのに。
(ためしにググってみたらずいぶん懐かしいものが引っかかったよ。せっかくだからおれはこの文章をコピペるぜ)
 
 登場人物といえば、宇宙船<ベル・マリー>のAIベルが地味に萌えAIで素晴らしい。注目の的になるのが大好きだったり、コスプレ趣味だったり、作業の邪魔されて癇癪起こしたりもするし、「マーゴリアの月」を発見したときのものすごいやっちゃった感とかもう最高!出番は少ないけど、その出番のすべてをつかってぼくらを萌えさせてくれますよ!畜生、かわいいなぁ。次回作『The Devil`s eye』ではもうちょっと出番が増えてるといいなぁ。

 物語とはまったく関わりありませんが、作中に登場する歴史書『アルクトゥルスで左へ』はタイトルの時点で何かに勝利していると言わざるを得ない。本屋でこんなタイトルの本を見つけたら絶対に手にとってしまうよ。


……(エジプトの墳墓の)真の古さを示しているのは共通暦二〇〇年ごろにアテネ人訪問者がその壁にした落書きだ。わたしたちにとってその落書きが古代の遺物であるのと同様に、アテネ人にとってもその墳墓は古代遺跡だったのだ。
        ――ウォルフガング・コービン
『蛮族と奴隷娘』(共通暦六六一二年)

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