淺沼広太『有限会社ビクトリア旅行代理店』
『有限会社ビクトリア旅行代理店は、社長と元レースパイロットのユーリ、それにアンドロイドのメアリしかいない零細旅行会社。社運を懸け、「シークレット遺跡ツアー」を企画するが、応募してきたのは、ワケありな乗客ばかり!?ワガママ乗客の横暴から銀河帝国の陰謀まで、道中、次々と湧き起こるトラブルの中、オンボロ旅客船『ビクトリア号』は無事に目的地にたどり着けるのか――。』
やあ、ぼくはイラストに騙されたジョニィさんだ。好きなものは体のラインが丸分かりのセクハラ系スペオペ未来スーツだぞっ!
……というわけで表紙イラストに騙されました。
いや、騙されたというほどひどいものでははないのだけれど、なんといえばいいのかな……嫌いかといわれるとそんなことはないんだけれど。むしろ好きでさえあるんだけど……なにか、こう、もにょもにょしたものを感じるわけですよ。あとほんの少し手が入っていれば、この物語はもっともっと面白い話になったんじゃないか?と。
読んでいて頭を使わなくていい話でした。設定とか考証とかいうものにはあまりウェイトを置かず、エンターテイメントに徹していて、ハリウッド映画や懐かしのソノラマ文庫のノリで話は進みます。読みやすい文章で、難しい科学的知識は必要なし。キャラクターは分かりやすいし、事件の構造はシンプル。よい意味でも悪い意味でも読みやすい話です。
……宇宙開発なんかにあまり興味のない友達と妄言を飛ばしあいながらシナリオクラフトでスターレジェンドを転がしてみたらこんな感じになりそうな気がする。
次の巻以降のためか、いろいろと仕込みを残したまま話が終わっています。物語が続くのであれば、次回はもうちょっといろいろなところに手を入れて欲しいなと思います。買うからさ。
愛想のないアンドロイド添乗員のメアリが大変可愛かったので、どうかこの先も人間的な思考パターンを獲得することなくロボのままでいていただきたい。半端な媚びはいらない。
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