畠中恵『アイスクリン強し』
『ビスキット、チヨコレイト、アイスクリン、シユウクリーム、スイートポテト。南蛮菓子から西洋菓子へと呼び名が変わり、新たな品々が数多登場。そんなスイーツ文明開化の東京で、孤児として生まれ育った真次郎は、念願の西洋菓子屋・風琴屋を開いた。そこには今日もまた、甘い菓子目当てに若い元幕臣の警官達がやってくる。菓子作りの修業に精を出したい真次郎に、厄介事が次々と……。』
いまだ旧時代を引きずりながらも新時代を歩もうとする明治23年の築地居留地で、西洋菓子屋の若主人と元幕臣の警官達「若様組」が繰り広げる「スイーツ文明開化」騒動記。
……すごく惜しいなぁと思います。
せっかくキャラクターや舞台の設定にいい材料をたくさん集めてきたのに、その材料をバランスも考えずに全部まとめて鍋に放り込んだものだから、まとまりの無い、ひどく中途半端な話になってしまってる。連作短編なんだからエピソードごとにテーマをはっきりと切り替えて材料の取捨選択をしていればどのエピソードもすっきりしたいい物語になっただろうに。せっかくそれぞれのパーツはよいものなのに。もったいないなぁ。
作者の人は、賑やかな若者たちのドタバタ物語がやりたいのかラブコメがやりたいのか明治維新の変革の影のほろ苦い話をやりたいのか、はっきりしてください。ミステリーをやる気が全然無いのはよく分かったけどさ。
続きが出るのならもうちょっと物語の着地点を見据えた話作りをして欲しい。
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