時雨沢恵一『キノの旅 XIII―the Beautiful World』
『「何だ?」キノが『フルート』を構えてスコープを覗いて、今いる丘の上から地平線を見下ろします。しばらくして、ようやくそれが何か分かりました。大量の土煙を生み出していたのは、大地を埋め尽くすような大型動物の大群でした。大きく太い体と頑丈そうな四肢を持つ、鈍い灰色をした草食動物です。「この辺に住むサイの一種、だね。水が欲しくて集団で移動中なんだよ」エルメスが言いました。灰色のサイの群は、何千頭、または何万頭いるのか分かりませんが、濁流のような密集度と勢いで大地を進んできます。その進む先には──「あ……」『フルート』を向けたキノが、声を漏らしました。(「この世界の話・b」)他全11話収録。』
口絵の“少し背が低くてハンサムな男”の言葉にホロリ。かれは“その時”どう思ったんだろうなぁ。
そしてスペシャル収録が“十二歳の誕生日”の直前の話でやっぱりホロリ。
「百年後に本作品を読まれる方へ」と「違法な国」がすごく時事のネタでちょっと印象的でした。特に前者。これは本気で怒っているのか、それともラスト一行のためのネタ振りなのか……それとも両方か?
国民僅か三人のシズの国だけど、彼らの国こそが「旅人の国」なのだろうと思う。
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