『世界樹の迷宮SRS』TRPGセッションのプレイレポート
先日の『世界樹の迷宮SRS』セッション「サソリ沼の迷路」のプレイ感想とか反省とかネタバラシとか。
一口感想で済ますつもりが、とんでもなく長くなったので折りたたみ。
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○前日までの用意
・キャラクターシート他の準備
いまだに公式サイトが出来ていないので、ひさしぶりにコンビニでルールブックのキャラクターシート他をひたすらコピーしてきました。ついでにデータ類もコピー。インターネットに触れたこともなかった大昔を思い出します。
それにしても、『世界樹の迷宮SRS』はこのまま公式サイトなしのままなのかしら?それはちょっと寂しいなぁ。
・ルールサマリー製作
時間に余裕があったのでプレイヤー向けにルールサマリーも作成。A4用紙1枚に『行為判定』『戦闘ラウンド進行』『通常戦闘ルール』『簡易バトルルール』『バッドステータスの効果と回復』の項目を詰め込んだもの。ほとんどのプレイヤーがSRSシステム初体験なので最初の2項目も入れましたが、この中で絶対必要なのはバッドステータス表だけな気がしますよ。あとは口頭の説明で十分でした。
サマリーを作るのにルールを確認していて思いましたが、『世界樹』のルールは実に簡単かつ分かりやすく作られていて素晴らしいですね。元のSRSも重いシステムというわけではありませんでしたが、戦闘がメインになりやすい『世界樹』では、戦闘、戦闘、また戦闘という展開になってもプレイヤーの負担が重くならないようにさらによくいじられてる。なんといっても、ルールブックの簡易バトルルールの解説ページはたったの1ページ半なんですから。
・シナリオ
セッションに使うシナリオはオリジナル。……と言い切って良いものかしら?ゲームブックFFシリーズの「サソリ沼の迷路」からタイトルとか固有名詞とかイベントとか色々イタダキました。
初めて遊ぶゲームと言うこともあってめずらしく気合を入れてシナリオ本文をきっちり書きましたが……根本的なシナリオ設計にミスが(後述)。話の骨子に関わってくるものじゃないから大きな問題はなかったけどさ。もったいないからこのシナリオはあとで手直しして公開しよう。
SRS版の初期作成キャラが原作の7レベルに相当する強いキャラであるというのはもうちょっと意識しておくべきでした。元ゲーの初期作成1レベルの弱さが頭に残ってるがゆえの失敗。原作経験者でこれからGMをやるという人は気をつけてください、やつらは迷宮デビューしたばかりなのに強いんだぜ!
○当日のプレイ
ゲームマスターはこのぼく。
対するプレイヤーは5人。うちDS世界樹をプレイしたことがあるのが二人。残りの三人はほとんど原作ゲームを知らないようでしたが、元々の『世界樹の迷宮』というゲーム自体がキャラクタークラスにしても世界観にしても(初期段階でプレイヤーに提示されるものとしては)極端に独自性の強いものがないスタンダードなスタイルなので、簡単な説明で理解してもらえました。
ただ、クラスの説明をするときにアルケミストのフレーバーを「魔法使い」という表現抜きで説明しようとすると、これが意外に難しかった。次回、新規のプレイヤーと遊ぶときには各クラスの説明文を一通り用意しておこう。
・キャラクターメイキング
クラス選択はメディック、ダークハンター、アルケミスト、パラディン、バードという微妙に打撃力に欠けるパーティ。……と思ったがまったくそんなことはなかった。やつらは迷宮デビューしたばかりなのに強いんだぜ!
ちなみに全員コンストラクションで一から作成。
ゲーム自体の説明、世界とクラスの解説、能力値&数値算出、スキル選択、装備購入、ライフパス三種の決定をした時点でキャラクターの簡単な設定を考えてもらって、その上でキャラクターの自己紹介までやって1時間半というのは、初めてプレイするゲームとしては順当なところではないでしょうか。
各クラスのサンプルおよびコンストラクションデータや装備表、ライフパス表のコピーは用意しておいたんだけど、それに加えてもう一枚、初期段階で購入可能な武器・防具のみの装備表も作っておけばさらに時間を短縮できました。各武器と鎧が3種ずつだから作っても大した手間じゃなかったはずなんだけど、そこまで気が回らなかったなぁ。
あと、意外に収集系スキルを取ってくれる人が多くいてくれて嬉しかったですね。PC5人中3人が収集スキル持ち(採取2人、伐採1人)。
・BGM
当日までにプレイ中のBGMとしてSQ1のサントラを買おうと思っていたんですが、すっかり忘れてました。しかたが無いので、キャラクター作成中は原作ゲームソフトの初回特典サントラから『オープニング・フルバージョン』をエンドレスで流してました。
で、プレイ中は嘘屋の『forest』のBGMをループ。ほら、街が木々に覆われてる話ですし。あと「舞台がシンジュク」というのも大きいですね。つーかそれがこのネタを選んだ理由のほとんど全部です。
・迷宮探索
キャラクターメイキング抜きのプレイ時間は、アフタープレイの処理などを全部含めて約6時間。アフタープレイで1時間近く使ったので実質的には5時間ほどですか。
このセッションの迷宮(フィールド)探索はフロアタイル制を選択。
最終的にタイル移動が25~30タイルほどで、戦闘回数が13回。最初の戦闘はチュートリアルのために、最後の戦闘はクライマックスのイベントとして通常の戦闘ルールを採用。それ以外はすべて簡易バトルルールで処理しました。
戦闘ではエニーセブン(GMはダイスを振らずにすべて“7”の目が出たことにするルール)を採用せず、いちいちサイコロを振っていましたが、それでも個々の戦闘はあっという間に終わりました。簡易バトルの名は伊達じゃないですね。エニーセブンルールを使っていれば戦闘時間はさらに半分になっていたと思われます。……使っとけばよかったな。
残念ながら、「ランダムエンカウント表:第1層」のモンスターではガチ組みしたパラディンにはろくにダメージが通りませんでした。まあ、(原作の)7レベルだしね。
今回、シーンプレイヤーには「シーンプレイヤーカード」を渡しておき、シーン交替のたびに次のシーンプレイヤーに渡してもらうようにしました。そして、ランダムエンカウントの遭遇チェックのダイスは「シーンプレイヤーカード」の受け渡しと同時に新しいシーンプレイヤー自身に振ってもらいました。そういう“儀式”があったほうがゲーム的に盛り上がると判断したので。今にして思えば、ツールの選択にもう一工夫できたな。シーンプレイヤーの目印を「シーンプレイヤーカップ&ダイス」にして、遭遇チェックをそれで振ってもらうとか。
ダンジョンハックの目玉であるマッピングはGMがプレイヤーの前でA3用紙の大判マッピングシートに状況を説明しながら直接書き込み。本当ならプレイヤー自身に書き込ませたいところだけど、残念ながらぼくの描写能力では口頭でタイルの地形情報を伝えきれる自信がないので。
マップを書き込む際は色鉛筆で地形ごとに塗り分けを行いました。テーブルの端からでも地形を認識しやすくするための工夫でしたが、新しい地形のために鉛筆を用意しているのを見たプレイヤーが「新しい色が出てきたぞっ!イベントかっ!?」という反応を見せてくれたりもしたので、意外にゲームを盛り上げるツールとしても有用なようですね。
色分けといえば、今回のセッションでは新しいパネルに侵入したときは次のマップの地形も少しだけ書き込むようにしていました。
上の図中央のタイル(太い枠線内)に侵入した場合だと、明るい部分までを地図に書きこんでプレイヤーに見せてしまいます。で、「こんな風に、北側には林がある。木と木の間はかなり密になっている上に人の手がまったく入っていないので鎧で武装した君達が入っていくのは難しいだろう。林はそれなりの奥行きがあるようだ。どのくらい先まで続いているかはここからでは見通せないね。それが西の方に行くにしたがって少しずつまばらになっていく。南西のほうには背の低い種類の潅木が茂っているようだ。」と口頭で描写。
いや、実際にはこんな理路整然とは喋れませんけどね。セッションの時は「この辺ガーッと木が詰まった林があって侵入不能な。どのくらいかは分からないけどそれなりの奥行きがあるように見える。で、こっちには背の低い潅木が茂ってるように見える。まだ遠いから詳細は分からないけど」くらいの言い方をしてました。
今回は舞台がオープンフィールドだったので、隣のタイルの“ルール上見えない壁”(上のマップでいうと左下の黄緑パネル)については見せてしまっていましたが、この先、別のシナリオを遊ぶ際には今回とは逆に"ルール上見えない壁"は「そのタイルに入ろうとしないと壁があることに気がつけない」という判定をすることもありえます。木が茂っていて先を見通せなかったとか、ランタンの明かりが弱くて光が届かなかったとか理由をつけて。そして無為に移動時間を消費させてGMはほくそ笑むんだ。今回のプレイヤー諸氏は油断をするな。
・シナリオとクエスト
マップの向こう側にある目的地に行くために未開の荒野を探査するというメインのクエストに、イベントで発生するサブクエストを乗せるという構造でシナリオを作りました。
……が、サブクエストの発生条件を「探索開始後、最初にスタート地点の村に帰還した時」と設定したところ、PCが問答無用の快進撃でろくにダメージを受けず、回復や装備確保のために村に帰還する必要もなく、結果サブクエスト発生せずという悲しい結果になりました。まあ、マップ探索とそれに伴うあれこれだけだけでもゲームとして十分に成立してはいるのですが。
いや、セッション中、中間地点の村に一度帰還したので、このタイミングでイベントを起こすことも考えたのですが、この時点でのプレイ時間がすでに4時間を越えていたので無理せずあきらめることにしました。ゲームが終わってから振り返ってみると、ここでイベントを起こしていてもプレイ時間的な問題はなかったようですが、それは結果論だと切り捨てる。ぼくの心の平穏のために。
とりあえず、この件についての反省点は二つ。一つ、小洒落た演出など考えずイベントはさっさと発生させること。一つ、作成直後のPCは原作ゲームの7レベル相当の強力な冒険者であることをきちんと認識すること。
○システム全般と世界樹の迷宮を遊ぶということ
実際にプレイして感じましたが、この『世界樹SRS』は非常によく出来たダンジョン探索ゲームです。ルールブックを読んだ時点ではただのSRSのダンジョン対応バリアントルールとしか見えなかったものが、実際に遊んでみるとまったく違った感触で、別のゲームにさえ感じられます。
システムの軽さと遊びやすさが素晴らしいというのは上でも書きましたが、大事なことなのでもう一度いいます。
「原作の再現性」重視のプレイもプレイアビリティ重視のプレイも両立できる、ユーザーから求められるものの最大公約数をしっかり見据えて、それを練り上げたシステムの完成度は素晴らしいものです。しかも、軽くて遊びやすくて拡張性も高い。
ぶちまけた話、実際にプレイするまではアリアンロッドのテクスチャ張替えでも世界樹の迷宮らしさは出せるんじゃないかと思っていました。でももうそんなこと考えられない。世界樹の迷宮はこのシステムじゃないとダメだ。
たった一度のセッション、それもでかい失敗をやらかしてしまったセッションですが、ぼくはこのシステムが大好きになってしまいましたよ。よいものをありがとう遠藤卓司!愛してるえんどーちん!
・君は世界樹的な言い回しをしてもいいし、ブレナン的な言い方を選んでもいい。
で、その世界樹の迷宮らしさを演出するためにプレイ中に気をつけていたこと。
よく世界樹の迷宮的な言い回しとして使われる「君は○○してもいいし~」のゲームブック口調。この言い回しを使うときは「君は“A”してもいいし、“A”しなくてもいい」ではなく「君は"A"してもいいし、"B"を選んでもいい」といった具合になるべく前後を別の言い方にするよう気を使ってました。地味だけど、これ一つでだいぶ印象が違うはずです。
……ささやかすぎてPLには気がついてもらえない可能性が高いけどね。
例:
・「君は自分のカースメーカーPCにスパッツをはかせてもいいし、そうしなくてもいい」
・「君は自分のカースメーカーPCに木綿のパンツ(白)をはかせてもいいし、はいてないと妄想するのも自由だ」(さあ、スカートをめくりたまえ!)
○次回のためのメモ
プレイ中に思いついたことのメモ。とりあえずのたたき台。実際に使うにはもうちょっと練らなくちゃだ。
・フォーカスシステムの達成度でシナリオ開始時点のマップ作成率を決定する。
・明らかにPCに手も足も出ないランダムモンスターが出た場合、勇気をもって「こいつは一蹴されました」宣言。その場合はPCに幸運度で目標値○(一律5~6かモンスターレベル×2)の判定を行い、判定に失敗した場合は差分値の実ダメージ。
・ランダムエンカウントの遭遇判定のターン修正のチェックが出来るシーンプレイヤーカード(ダイス置き付き)を作る。
・エニーセブン加算版モンスターデータの一覧も作っておくと楽になりそうだ。
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