今日の読了本『駿河城御前試合』
・南条範夫『駿河城御前試合』
シグルイ完結記念(とはいっても読むのは単行本待ちなのだけれど)で半年ばかり前に購入した原作本(1983年の河出文庫版) を引っ張り出して読んでみました。
侍同士、武芸者同士の意地とプライドがぶつかり合う残酷剣劇連作。
読んでみて驚かされるのがその淡白な残酷描写。試合に至るまでの経緯、男たちの愛憎劇はどこまでも丁寧に、その情念が臭い立つほど濃く描かれているというのに、その情念ぶつかり合う御前試合そのものはせいぜい1ページそこらで淡々と起きた出来事を描かれるのみ。コミカライズ版であるシグルイの行き過ぎるほどの濃い描写とは真逆です。でもそれは決して薄さを意味しているわけではありません。暴力を暴力として正面から突きつけるような淡々とした描写が、斬られた男たちの淡白な死に様が、かえってその残酷さを増すのです。
ところで、若先生は「被虐の受太刀」もコミカライズしてくれないかしら。すげぇ似合いのテイストなのだけど。読みてぇ。
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