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2010/09/28

今日の読了本『弱小空軍の戦い方―枢軸国と連合国に分かれた欧州小国の航空戦』『ニーナとうさぎと魔法の戦車』

・飯山幸伸『弱小空軍の戦い方―枢軸国と連合国に分かれた欧州小国の航空戦』
『連合国の一員として歩もうとした国々。そしてナチス傘下に組み入れられた国々。東西に分かれて戦ったヨーロッパ小国の飛行部隊は、米、英、独、ソを敵にしていかにその戦力を運用したか。チェコ、オランダ、ポーランドなど、知られざる航空工業力を有した国々の特異な実情とその航空戦力の"実力"を徹底研究する。』

 時は第二次世界大戦。大国の間で揺れ動き、最終的に一桁多いどころではない敵と戦う羽目に陥ったヨーロッパの弱小国の皆さん――連合国側(オランダ、ベルギー、北欧、ポーランド、バルカン半島)、枢軸側(チェコスロヴァキア、オーストリア、ルーマニア、ハンガリー、フィンランド、ブルガリア)、中立国(スウェーデン、スイス、スペイン、ポルトガル)――が何とかしてでっち上げた空軍の、その戦い方と使用した航空機についての紹介本。
 前半100ページほどで各国の二次大戦における戦闘の流れを解説し、残りの約350ページがそれらの国々が使用した飛行機(自国開発したもの、他国から購入したもの)の紹介に当てられています。扱っている機種は多いし、そのほとんどが名前も知らない飛行機ばっかり。それぞれの開発経緯や実際の運用について詳細に解説されています。また、すべての機体紹介には三面図付き。
……でも、読んでいてあまりわくわくしないのは、それらのほとんどが複数の意味で残念な飛行機だからだろうなぁ。小国の少ない予算と経験値で作ったから性能が残念でした。小国の予算では数がそろえられなくて戦争の役に立ちませんでした。小国の工業力では安定した運用ができませんでした。エトセトラエトセトラ。
 ほかでは読めない超☆貴重なマイナー飛行機資料だってのに、これじゃテンションを上げられねぇ!がんばれポーランド!
 フィンランドとユーゴスラビアとルーマニアが数少ない救いでしたよ。飛行機的な意味でもドラマ的な意味でもネタ的な意味でもな!


・兎月竜之介『ニーナとうさぎと魔法の戦車』
『戦災によって放浪の身となった少女・ニーナ。ある日、彼女は結婚式会場から食事をくすねようとしているところを見つかってしまう。警察に突き出されることを覚悟したニーナだったが、魔動戦車とともに現れた少女たちによって赦される。彼女たちこそ、戦争が生んだ災厄・野良戦車から街を守る私立戦車隊…通称・首なしラビッツのメンバーだった。そこに野良戦車の襲撃を知らせるサイレンが鳴る。かつて戦車に乗っていたニーナ。そして砲手がいないラビッツ。ラビッツの戦車長・ドロシーはメンバーたちに向かって言い放った。
「たった今、新しい砲手が見つかった!」
第9回SD小説新人賞大賞受賞作、堂々登場!!』

 女の子と戦車と言うわかりやすいキーワードに惹かれて手にとった本ですが、予想外に良いものでした。デビュー作ということで、今回はまだ詰め込みすぎて焦点がぶれてる部分がありましたが、この作者の次回作以降が楽しみです。
 戦争の後遺症の残る世界で、魔法で動く戦車を操る女の子たちが前の戦争の産物である野良戦車を狩って街を守る。戦災に押しつぶされた少女が泣いたり笑ったりできるようになる物語。
 あと、この世界の魔法のシステムは面白いな。文字通りにシステマティックで。

「相手が悪意で攻めるなら、こちらは善意で反撃しよう。憎しみによる暴力がはびこっているのなら、正しい力の使い方を教えてやろう。首なしラビッツというチームはね、戦時中にはありえなかった正義の味方なのさ!」

 

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