今年の本
富永浩史と速水螺旋人のタッグによる馬車馬戦記外伝『小説馬車馬戦記 ディエンビエンフー大作戦』は歴史の間隙をすり抜ける見事な航空冒険小説でした。文章を読んでて自然に『絵』が思い浮かぶんだ。
木村航の『ななめカンナヅマ』とジャック・リッチーの『カーデュラ探偵社』は、仕事帰りの電車の中で読んでたら集中しすぎてあやうく電車を乗り過ごすところでしたよ。なんという危険物。
大量の書き下ろし追加で一冊にまとまった銅大の『放課後ワールドウォー 完全版』はその大ボリュームと裏腹に読みやすくてわかりやすいすばらしい戦史解説書でした。歴史を知っている人が思考を整理するための参考書としても、興味があるけれどどこから手をつけていいのか分からない人の入門本としてもお勧めです。
峰守ひろかずの『ほうかご百物語』はついに本編終了。残るは1月発売の番外編のみ。全十巻お疲れ様でした。ホント言うと、もうちょっとあの連中のにぎやかな放課後を見ていたかったよ。レメゲドン金融とか。
久正人の『びっくりモンスター大図鑑』。リアル生物にもファンタジー生物にも造詣が深い作者ならではのリアリティあふれるファンタジーは一見の価値あり。大人の目にも耐える……というか、主に大人が読むべき架空博物誌です。
鍵開け馬鹿の突撃青春日記、池田朝佳『鍵開けキリエと封緘師』。ダークな雰囲気のスパニッシュ剣豪小説、アルトゥーロ・ペレス・レベルテ『アラトリステ』。今更新作を読めると思っていなかったうれしい大誤算、新規書き下ろしのショートノベル&コミック&ゲームブック、オマケにTRPGシステムまで収録の大豪華本『コトノハ通信 マンションズ&ドラゴンズ&ダークローダーズノベル』。あと、ちゃんと感想かいてないけど、カミ『機械探偵クリク・ロボット』、伊藤ヒロ『アンチ・マジカル-魔法少女禁止法-』、秋田禎信『ベティ・ザ・キッド』 、船曳和代・新海明『クモの網―What a Wonderful Web!』あたりの本も楽しんで読みました。
本棚の奥からフィンランド関連の本を引っ張り出して読み返してたのは、明らかにストライクウィッチーズ2の影響です。おかげで未入手だったユーティライネンの『フィンランド空軍戦闘機隊』を買う踏ん切りもついたよ。
今年は、亡くなった方の数はそう多くなかったけれど、その質においては昨年や一昨年に勝るとも劣らない損害ですよ。翻訳家の小隅黎(柴野拓美)と浅倉久志。デュマレスト・サーガの作者E・C・タブ。
皆さんには本当にお世話になりました。
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