今日の読了本『鉄砲を手放さなかった百姓たち 刀狩りから幕末まで』
・武井 弘一『鉄砲を手放さなかった百姓たち 刀狩りから幕末まで』
『1543年、日本に鉄砲がもたらされた。このかつてない最強の兵器・鉄砲が、戦国の争乱に終止符を打った。そして豊臣秀吉の「刀狩り」により、すべての武器が没収され、民衆は武装解除されてしまった――!?
日本人は鉄砲を取り上げられたわけではなかった。それどころか、江戸時代の百姓は戦うことを本業とする武士よりも鉄砲を多く持っていた。「鉄砲改め」を行った家綱、「生類憐みの令」の綱吉、鷹狩り好きの吉宗からアウトローが跋扈する幕末まで、2世紀にわたる泰平の世を築いた江戸幕府の下で、百姓たちはなぜ、どのように鉄砲を死守していったのか。将軍の行う「鷹狩り」は銃規制とどのように関係したのか。銃の摘発強化のなかで、幕府・役人・鳥獣としたたかな攻防をくり広げ奮闘する百姓たちの姿を、江戸時代の文書を一つ一つ丹念に読み解きながら描きだす』
豊臣秀吉の「刀狩」ですべての武器を取り上げられた後も百姓の手には鉄砲が残されていたし、江戸時代の百姓たちは戦士階級であるはずの武士よりも多くの鉄砲を持っていたという、ちょっと意外な視点から追いかける日本史。
2世紀にわたる泰平の時代の、“武器”ではなく“農具”としての鉄砲をめぐる役人と庶民と鳥獣の生存競争。
鉄砲をめぐる攻防についての話も面白かったのですが、それ以上に100年以上続く太平の世の中で書類管理に追われる武士のありようが興味深かったです。溜まりに溜まった書類を保管するために、戦争施設であるはずの櫓を書類保管庫として流用するのが一般的になったとか、どんだけ平和ボケよ。
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