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2011/08/17

ヨハンネス・M・ジンメル『白い国籍のスパイ』

『「逮捕する?誰がだ」「ゲシュタポがだ」1939年、第二次世界大戦前夜の暗雲立ち込めるドイツ。出張中のロンドンの若き敏腕銀行家、トーマス・リーヴェンは、突然無実の罪で逮捕された。「なぜ、私を……」窮地に追い込まれたリーヴェンだったが、ゲシュタポは、釈放する代わりに法外な条件を突きつけた。これが悪夢とも呼ぶべきスパイ生活の始まりだった…!』


「私は人を撃つこと、人を脅迫すること、人を逮捕すること、そして、人を苦しめることをお断りします。」
「職務上許された範囲でなければ、私は誰をも害せず、誰からも金品を取り上げません。職務の範囲内といえども、相手がそうされるいわれを持っていない限り、やりません。」

 1939年、第二次世界大戦前夜。若き銀行家トーマス・リーヴェンは、出張先のドイツに到着したとたん無実の罪で逮捕された。拘束されたリーヴェンに対し、ゲシュタポの突きつけた解放条件はスパイになれというものであった!
 仕事上のパートナーにだまされ、非常のスパイの世界に飛び込むことになった若き銀行家トーマス・リーヴェン。意に沿わぬスパイをするはめになった主人公が、さまざまな情報機関を渡り歩きながらもあくまでも己の良心に忠実に、善良な市民には害をなさず、悪党のみを敵として痛快な活躍をする物語。

「まっとうな人間として振る舞わなくてはならん。ドイツのまっとうな人物に対して、またフランスのまっとうな人物に対して。裏切者になってはならん。夢想家であってもならん。センチメンタリストであってもならん。ただ人命を救うんだ」

 銀行家としての知識と経験、類まれなる交渉能力、そして料理の腕前と人脈を武器にヨーロッパ各国の諜報機関を又に掛けて超一流のスパイとして活躍するリーヴェンは、同時に戦争を憎み、なによりも人命を尊ぶ男であった。彼は強いられた諜報員としての立場を巧みに利用して陣営を問わず多くの人命を救い、結局は全ての諜報機関からも裏切者として追っ手を差し向けられることになる。

 敵味方、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、ソ連、軍民を問わず全ての人々の生命を第一に考える優しい陰謀家の軽妙洒脱な大冒険。
 陰謀小説ですが読後感は爽快。不屈の平和主義者トーマス・リーヴェンの生き様を見よ!

 今回ぼくが読んだのはノベルズ版ですが、文庫版にはトーマスが作るさまざまな料理のレシピが掲載されているのでこちらをお勧めします。

『ゲシュタポ、ドゥーズィエム・ビュロー、シークレット・サーヴィス!諜報機関ののろわれた犬めら。お前たちは、俺をどこまで追い詰めたか知ってるか?俺は監獄にぶち込まれ、脱獄もやってのけた。パスの偽造だってできる。毒薬や、ピストルや、爆薬や、透明インクの扱い方も知っている。モールス信号も、隠しマイク取付けも、射撃も、暗号解読も、何だって俺にはできる。だが、そんなものが何になる!もうたくさんだ!これから俺は、餓えた狼のように、お前たちに襲い掛かってやるぞ!今から俺の戦いが始まるんだ!お前たちスパイども全部を相手の妥協なき戦いだ!』


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