レッドバロン
第一次世界大戦で最高の撃墜数を誇ったエース、レッドバロンことマンフレート・フォン・リヒトホーフェンの物語。戦争というもののありようが変わっていく時代に、馬を飛行機に乗り換えた最後の騎士たちの姿を描く。
ただ夢を見ているだけだった一人の青年が現実に触れ、己の行く道を決断する。
ヒコーキ映画として考えるとちょっと物足りない、せめてもう一度空戦シーンが欲しい映画でしたが、若きパイロットの青春映画としてはよい出来だったかと思います。
特に、リヒトホーフェン最後の出撃前のパイロットたちが談笑しているシーンの、朗らかなのにその先に待つものを想像させる空気は出色。
「歴史的事実を忠実に描くことが重要だった。この物語のユニークなところは、事実そのものが非常にエキサイティングだということ。我々は歴史を分解したくはなかった。もちろんドラマ性を考え、また、これほど波乱に富んだ人生の物語を映画の標準的な長さで語るためには、いくぶん単純化したり、数名の人物をひとりにまとめたりしなくてはならない部分もあった。それでも我々は事実を忠実に描くことを確実にするため、数名の歴史顧問に参加を依頼し、撮影現場にずっと付き添ってもらったんだ」(ダン・マーク/プロデューサー)
映画としてストーリーを作る上での多少の創作はありますが、基本的には史実を意識した誠実な作り。細かいガジェットにまで気合を入れた考証っぷりがうれしい。
リアルな映像のためにヨーロッパ中から小道具を集めて撮影した、多くの人々が行き交う首都ベルリンの再現が素晴らしい。いや、本当のベルリンがどうだったのかは知らないけどさ。
ただ、個々のシーン自体は気合が入っているのだけれど、それらのつなぎ方が雑というか、ダイジェスト感が強いのが残念。「大河ドラマの総集編」という評価をしている人がいて、なるほど的確だと思いました。そのあたりで評価を落とすのがもったいないなぁ。
空戦シーンも、回数は少ないけれど、どれも力の入ったものです。狭い空間に大量の戦闘機が密集した第一次世界大戦らしいドッグファイトはたいへん良いものでした。
……それだけに、欲を言えばせめてもう一回、いや二回。空戦シーンを見たかったなぁ。
その空戦シーンに登場する飛行機の種類ですが、ぼくが画面から読み取れたのは、
・アルバトロスD型(前半のリヒトホーフェンの搭乗機)
・ブリストル・ファイター
・RAF・SE5
・カーチス・ジェニィ
・ハンドレー・ページ爆撃機(だと思う)
・ソッピース・キャメル
・フォッカー三葉
といったあたりでした。乱戦シーンには他の機種もいたかもしれないけど眼が追いつきませんでした。スパッドはいなかったと思う。
ちなみに一日二回(昼・夜)上映の昼の回で見てきましたが、観客の平均年齢が目に見えて高くて吹きましたよ。それなりのお客がが入っているというのに、平均年齢が50代を超えそうな勢い。ざっと見た感じぼくを含めた30代組が下限じゃないかな。こんな視聴者年齢が高い映画初めて!
福島での上映は今週金曜日までなので、興味のある方はすばやい行動を。ぼくも何とかして後一回見に行きたいなぁ。
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コメント
都内でも、平均年齢超高めでした(笑)
投稿: xueren | 2011/09/26 00:32
ああっやっぱりっ(笑)
投稿: Johnny-T | 2011/10/02 21:49