今日の読了本『神鯨』
・T・J・バス『神鯨』
『砂州に閉じこめられたロークァル・マルのやるせない絶叫を、磯波のとどろきがかき消した。シロナガス鯨の有機体と高度の機械装置がたくみに結合された、全長600フィートに及ぶ巨大なサイボーグ漁船――ロークァル。だが、海洋汚染によって海が死に絶えた時、地球社会は彼女を見棄てたのだ。死に掛けた彼女から最後のエネルギーを送り込まれた小型探査機<三葉虫>は、七つの大洋をめぐる果てしない旅に出た。もう一度人間を探し出し、ロークァルを蘇らせるために……。まったく異質な未来社会と文化を、奔放な想像力と詩的な筆致をもちいて見事に書きあげた海洋冒険ロマン!』
だいぶ遅くなったけどバス追悼ということで。
遠未来社会の海洋冒険ものであり、ディストピアものであり、種族間の生存戦争であり、惑星移民とか、今でいうシンギュラリティに近いものとか、ある一族の年代記とか、いろいろなネタをこれでもかと詰め込んだごった煮SF。
……これがどうしてあんなに爽やかに終われるのか不思議でならない。
超☆久々に読んでみたら気になったのだけれど、崩壊しかけのアーコロジーとか、都市を支配する管理コンピューターとか、命の安さとか、簡単につくられるクローンとか、やたら爆発物が仕掛けれれてる配給品とか……もしかしてパラノイア(TRPG)のイメージソースってこれだったのか?
(注:『神鯨』はシリアスな作品です。為念)
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コメント
"Godwhale PARANOIA"で検索したら、やっぱり同じにおいを感じた人はいるようですよ市民。XPの挙げる参考文献には名前出てこないです(上がってるのは「銀河ヒッチハイクガイド」や「1984年」や「リベリオン」)。検索のおまけで、"Rorqual Maru"が「ナガスクジラ丸」位のニュアンスだと知ってほっこり。
投稿: 飛竜/いしやま | 2012/03/26 00:58
>XPの挙げる参考文献には名前出てこないです
まあ、個々のパーツ自体はよくあるガジェットだから、平行進化の奇跡で、結果的に似たものになってしまったというのは十分にありえることです。
もちろん、小説"Godwhale"の入手難度を考慮して参考文献に挙げなかった可能性もありますが。
>"Rorqual Maru"が「ナガスクジラ丸」位のニュアンス
ほほー。
投稿: Johnny-T | 2012/04/01 20:37