今日の読了本『スターシップと俳句』
・トムソウ・スチャリトクル『スターシップと俳句』
『人類がクジラとのファースト・コンタクトに成功したのは、2022年3月3日、全世界に壊滅的な破壊をもたらした<千年期大戦>の勃発から21年後のことであった。この巨大な異種族は、暗号言語学者にでも動物学者にでもなく、ひとりのうら若い少女、大臣である父の命を受け日本からハワイへと向かっていたイシダ・リョーコに語りかけてきたのだった。「いまやすべてのもののサバイバルが問題となった」そう語るクジラが人類に与えた驚くべきメッセージは……!?ジョン・W・キャンベル新人賞に輝く、米SF界期待の新鋭が放つ異色近未来SF!』
地球全土に破滅が迫った近未来の、崩壊間近の日本を舞台にした「サバイバル」。海洋民族であるニホン民族と鯨の間に秘められた大きな秘密を巡る物語。
幼少時から世界各国を巡り、東京で生活していた時期もある作者が描き出す、狂気あふれる近未来日本。名誉と美しい死を愛する日本人は、全地球的な終末に対してどう向き合うのか。
異種族交流(?)SFに日本の伝統的な文化である「俳句」を加味した異色作。まさに怪作というにふさわしい作品です。
すべての日本人に読んで欲しい。
<以下ネタバレ>
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……そしてゲラゲラ笑おうぜ!
いやもう、トンチキすれすれ、というかすでにラインのあちら側の切腹ジャパン。
作者本人がいってるように、このありえない素敵ジャパンのシリアストンチキっぷりはニヤニヤゲラゲラ笑いながら読むしかないでしょう。シリアスのツラしたブラックコメディだもの。
日本人は太古の昔、鯨族の遺伝子改変者の手によって鯨と交雑していた。つまり人類の子孫であり、同時に鯨たちの末裔でもある。
……というのが物語のキモであり、知らなかったとはいえ先祖(の一族)をパクパク食べまくった恥を濯ぐ為に全日本的に(名誉の)死を望む空気が蔓延するわけですが……。
実際にそんな話になったら「先祖、美味ぇ!」で丸く治まってしまう気がしないでもない。日本人的に。
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