ゴブリンスレイヤーの元ネタについてのお話(第10巻)
『ゴブリンスレイヤー』の作中に登場する小ネタの元ネタについて。
あくまでも個人の推測によるものです。もし間違いや欠落にお気づきの際は遠慮なくコメント欄で指摘してください。
際限がないので一般名詞化したRPG用語の多くとネットスラングなどの定型文に由来するものはあらかた無視しています。
※このページには蝸牛くもの小説『ゴブリンスレイヤー』のネタバレがあります。
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・メモ
この巻ではTRPG『シャドウラン』をはじめとしたサイバーパンク・ジャンルと、それに類似した物語構造が見られる時代劇・時代小説を対応させたうえでファンタジーに置き換える演出手法が多くみられる。
・小枝一本腕一本
カードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』のユニット「ラノワールのエルフ」のフレーバーテキストに由来する。「小枝を踏み折れば、骨を折ってあがないとする」
・「この塚山はずっと臭うとるがの」
「塚人(ワイト)でも出そうだわい」
「呪われた王とか、王との約定を破って眠りを許されない武将とか、そういう亡者の類ね」
「ワイト」とは古英語で超自然的な存在を表す語。本来は亡霊を直接示すものではなかったが、トールキンが『指輪物語』の中で描いた塚人(バロウ・ワイト)が有名になったことにより、以後のファンタジー作品では亡霊・アンデッドモンスターの類として定義されるようになった。
・死んだ者は土に還るのみ故、彼奴ら、粘菌でも生えているのでしょうや
古典ゾンビ映画にゾンビの発生に粘菌(あるいはスライム的存在)が存在した可能性は低くはないと思われるが特定できず。
タイワンアリタケやエントモファガ・グリリ(バッタカビ)と呼ばれる寄生菌の一種は宿主となった昆虫の肉体を制御して自らの繁殖に利用する。
またTRPG『永い後日談のネクロニカ』のプレイヤーキャラクターは粘菌ナノマシンで構成される生ける屍(ゾンビ)となってしまった少女たちである。
・「そら、魔神にも有名(メジャー)なのとそうでもない(マイナー)のがいるわな」
「一番(エース)とか鬼札(ジョーカー)とでも名乗れば良いのに……!」
メモ:特定作品に由来するものであろうか?
・「AAAARERRRERERREM!?」
・「悪魔がいた」
「悪魔」
「赤かった」
・「空を飛んでいた」
コンピューターゲーム『魔界村』シリーズに登場する敵キャラクター・レッドアリーマーに由来。
・かつて大陸で暴れた病毒の魔神は、呪詛とは異なるもので屍を操ったという。
メモ:特定作品に由来するものであろうか?
・風か光か稲妻か
「白い稲妻」と称された父のシービークロスになぞらえて「稲妻2世」と称された競走馬タマモクロスのキャッチコピー「風か 光か」。
・裏社会では祖母と食事に行くにも裏取りを忘れるなと言うが
TRPG『シャドウラン』作中世界での警句「祖母と食事に行くにもバックアップを用意して裏取りをしろ」。
・友誼を結ぶに釣書が必要か?
メモ:ある程度一般的な言い回しではあるが、文脈を考えるに特定作品に由来するものであろうか?
・つまるところは己が立ち位置(スタンス)の問題だ
・生き様(スタイル)の問題
『シャドウラン』『トーキョーNOVA』などのサイバーパンク色の強い作品では利益や義理人情というキャラクターの在りようの問題は重要視されることが多い。
・とてつもなく長い道(イッツ・ア・ロングロード)
シルヴェスター・スタローン主演映画『ランボー』(1982年)の主題歌。ダン・ヒル「It's a long road」
・ならず者のように(ローグライク)
「ローグライク」とは、プレイのたびに舞台となるマップやダンジョンがが自動生成されるタイプのゲームジャンル。1980年発表のコンピューターゲーム『Rogue』に由来する。
本章に登場する盗賊ギルドとの符丁がこのジャンルのゲーム由来であることも関係するだろうか?
・町外れで無秩序に拡大する一帯(スプロール)
本来の「スプロール」が意味するのはは都市が無秩序に拡大してゆく現象のことであるが、この場合はウィリアム・ギブスン作の「スプロール」三部作『ニューロマンサー』『カウント・ゼロ』『モナリザ・オーヴァードライブ』の舞台となる《スプロール》(ボストン=アトランタ・メトロポリタン軸帯)エリアになぞらえたものであろう。
・「雑貨屋さん……?」
・「真鍮のランタン」
・「これから何をすんで?」
(中略)
「大蛇(サーペント)を殺す」
雑貨屋へ行き、角灯(ランタン)を買い、大蛇を仕留めるが如く
ローグライクゲーム「変愚蛮怒」の攻略法であるらしい。
・「ま、起こり(ジョンソン)から蔓(フィクサー)経由で、仕掛ける(ラン)のは同じ、と」
同じく裏稼業のエージェントを描いた作品である小説『仕掛人・藤枝梅安』シリーズとTRPG『シャドウラン』の依頼請負システムの単語を揃えたもの。
依頼人(起こり/ミスター・ジョンソン)が仲介人(蔓/フィクサー)に任務内容と報酬を伝え依頼する。仲介人(蔓/フィクサー)は依頼内容を精査し、適正な実行者(仕掛人/シャドウランナー)に対して依頼を持ちこむ。
・「信用(クレジット)さえ頂けりゃ」
・「裏取りは礼儀作法(エチケット)ってね」
一般名詞とTRPG『シャドウラン』のゲーム用語のニュアンスの微妙な差異。
・騙して悪いがされても
「だまして悪いが、仕事なんでな。死んでもらおう」
コンピューターゲーム『アーマード・コア2 アナザーエイジ』に登場するキャラクター・ランバージャックが主人公を偽の仕事依頼で罠にはめた際の発言。
・「ではお客人、そう堅くならず楽になさってください」
「では有り難く。椅子と杯を借り受けて、挨拶をさせてもらう。どうか控えてくれ」
・「故に、ああいった符丁や作法で身の証を立て、身を守る」
「仁義を切る」と呼ばれる任侠、テキヤ、香具師、博徒、渡世人などが初対面の際に交わす挨拶の形式。
識字率が低かった時代の身分証明の手段である。厳格な所作は同業の者であると確認するための目安であった。ヨーロッパでもフリーメイソンが握手法で会員を見分けるなど同様の挨拶法が存在したという。
・師を樽に乗る者
・忍びの旦那のお弟子なだけある
『ホビットの冒険』の主人公ビルボ・バギンズの異名。
・「仕掛人(ランナー)。モグリの冒険者」
・冒険者ギルドから与えられる身分保障
・後ろ暗い、影の中の者
・存在否定可能人材
TRPG『シャドウラン』のプレイヤーキャラクターは基本的に個人識別用のIDを持たない否認可能な人材(ディナイアブル・アセット)であり、足が付かない代わりに社会の保護を受けることもかなわない人々である。
・彼女が携えている鉄の槍
・緑の外衣、その下には細い体を鎖帷子で守っているのが良くわかる。
・大昔の勇者になぞらえて
コンピューターゲーム『ドラゴンクエストII』の主人公の一人、サマルトリアの王子になぞらえているものと思われる。武器も魔法も使用できるバランス型キャラクター。
・蔓(フィクサー)が『行ってやって帰るだけ。簡単な仕掛け(ラン)だぜ』と言ったら
・「最高で仕掛け人(どうぎょうしゃ)。最悪でも仕掛け人(どうぎょうしゃ)」
メモ:『シャドウラン』作中の警句に由来するものであろうか?
・呪的強化された四肢へ吸収させながら着地。
これもまたご禁制の紫杯の賜物だ。人間性(エッセンス)を削った甲斐はあるというもの。
TRPG『シャドウラン』におけるサイボーグは人体改造をすると「人間性(エッセンス)」のパラメータが減少する。
・闇よ落ちるなかれ
L・スプレイグ・ディ・キャンプのタイムスリップSF小説『闇よ落ちるなかれ』。
・依頼人(スポンサー)から一言
フレドリック・ブラウンの短編小説『スポンサーから一言』。
・「お酒、作るのに、拍子歌。星の絵図面変わったら、お酒の……味も、違うもの」
・女神の乳房の放漫さ、それを称える形容詞一つ二つが大事なのだ
メモ:特定作品に由来するものであろうか?
・神か悪魔かって力を持ってたって
(中略)
お前らこそ悪魔だ
永井豪の漫画『マジンガーZ』と『デビルマン』の作品を代表する台詞。
・「業(カルマ)も積めるってもんだ」
「業(カルマ)」は本来なら一般名詞であるがシャドウラン要素の多いこの巻ではゲーム用語としての「カルマ(経験点)」であろう。
「社会的正義に沿わない依頼」は金銭的報酬が高い一方でカルマ(経験点)報酬が低く、「人情や仁義に従う依頼」は金銭的報酬が低いかわりにカルマ(経験点)報酬が高くなる
・不在の騎士
イタロ・カルヴィーノの小説『不在の騎士』。真っ白い甲冑に虹色の羽飾りという派手ないでたちにも関わらず、騎士アジルールフォは中身が空洞の不在の騎士なのだ。
・街の衛視長の邸宅に盗人が忍び込んだ。
……以前にもそんな事があって、煙管だか薬入れだかがが盗まれたことがあったらしいがな。
メモ:特定作品に由来するものであろうか?
・サンドイッチ
・「ああ、賭博好きの貴族が好んで食べていたというアレですか」
・「あの貴族は勤勉で、遊んでなどおりませんでした」
これが「サンドイッチ」という料理名を明確に出した上での会話であることから「サンドウィッチ伯爵が賭博しながら食べられる料理としてサンドイッチを発明した」とする伝説が四方世界にも存在するとわかる。
・巻き込まれた小鬼どもがずたずたに切り裂かれる様は、さながら古の名剣(カシナート)が如し。
『ウィザードリィ』シリーズに登場するカシナートの剣。その形状のモデルは料理用のミキサーである。
・「こいつァ、戦車(チャリオット)だ……!」
・無数のゴブリンどもが手押し車よろしく~
・小鬼戦車(ゴブリン・バトルワゴン)
・混沌の勢力からの技術支援(テクニカル)
その描写からコンピューターゲーム『ダンジョンズ&ドラゴンズ シャドーオーバーミスタラ』に登場するステージボス・ゴブリン戦車(ウォーマシン)がモデルだと思われる。ゴブリンの知力の結集。その動力はゴブリンの手押しである。
・「やることが――多い……ッ!」
『金田一少年の事件簿』の犯人たちがどれだけ苦労してトリックを仕掛けたのかという部分を描くスピンオフ『金田一少年の事件簿外伝犯人たちの事件簿』File1「オペラ座館殺人事件」に登場する台詞「やることが……やることが多い……!!」。
殺人トリックを実行しようとしていた犯人が、あまりにもタスクが多すぎてパンクしそうなときに脳内で叫んだ。
・かの妖術師と宝冠を巡る偉業
・灰色の者の探索
・灰鷹の如き術者
・――もっとも、彼らは一様に剣技にも長けていたという話だけれど……!
それぞれゲームブック『ソーサリー』の主人公、『指輪物語』のガンダルフ、『ゲド戦記』のゲド(ハイタカ)。
・現在進行形で力場を維持して、突っ込んでくるマンティコアを弾いているのだ。
・軍事機密の癖して異国の闇市に流出させてるのが悪いのよ!
・存在しない呪文を言わないように記憶を確かめて。
・次の瞬間電撃音(ZAP)が響き渡り
いずれもゲームブック『ソーサリー』由来。
『ソーサリー』主人公の国アナランドの呪文書は国家機密のため国外持ち出し不可とされているが、そのはずの呪文の書が漏洩し黒エルフの隊商で売られている。(ちなみにゴブリンスレイヤー外伝『ダイ・カタナ』では主人公一党がこの隊商から呪文書を購入するシーンがある)
・――もっとも、虎すら知らない魔術師だっているという話だけど……。
『ソード・ワールドRPGリプレイ第3部』の魔術師フィリスは虎を指して「大きな猫」と呼んだ。
・ひょろりと長い耳が揺れている。
・顔を拭いながら
・そしてその闇人が
10~12巻は各巻一人、ゲストキャラクターとして「白粉で肌を隠したダークエルフ」(C)ソード・ワールドRPGリプレイ第3部 が登場している。
・南方にいるという獣(じゅう)
『指輪物語』に登場。大きな耳、長い鼻、2対の牙を持つ巨大な生き物。
・すっと無造作に半分ほど体をずらした。
古いコンピューターゲームで有用であった操作技法「半キャラずらし」。
・魔神どもを間合いに入るなり機会攻撃で仕留める
「機会攻撃」は『D&D』の戦闘オプションである。自分のキャラクターと隣接しているマスを他者が通り抜けたとき、その瞬間に一回だけ手に持っている近接武器で相手を攻撃してもよい。
・「冒険者の伝統に乗っ取って蹴り破る!(キックオープン)」
『ウィザードリィ』においてドアは蹴破るものである。
・酒と女と歌を愛さぬ者は
マルティン・ルターが残したとされる格言『酒と女と歌を愛さぬ者は、生涯馬鹿で終わる』と、それを基にしたヨハン・シュトラウス2世が作曲したワルツ『酒、女、歌』
・レベル二桁突入
・英雄級から伝説級
・だが神話級はレベル二十一からだ
いずれも『D&D』。
・冒険者には砂漠が似合うものです。伝説の冒険屋もそうでしたし。
漫画『EAT-MAN』の主人公、世界一の冒険屋ボルト・クランク。彼はしばしば荒野に赴く。
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コメント
>かつて大陸で暴れた病毒の魔神は、呪詛とは異なるもので屍を操ったという。
カプコンのアクションゲーム「バイオハザード」?
投稿: りりゆり | 2025/11/23 20:35
『バイハ』、かなりそれっぽくはありますよね。それと断定するにはちと本文中の情報が足りないのでとりあえず除外しましたが。
投稿: Johnny-T | 2025/11/24 08:57